海洋土木株式会社の事業内容をご紹介いたします。
水中溶接工事とは、物を固定するための溶接、止水するための溶接、強度を補うための溶接など、目的は多種多様です。
◆水中溶接工事施工例
ダム施設、船舶の止水、護岸工事、仮設桟橋の構築、仮設止水壁の構築、防食工事、港湾鋼構造物施設の補修等あらゆる場所で施工しています。
◆対応範囲
作業可能水域:海、河川、池、ダム、地下水、下水、プール、水槽など。
◆陸上との違い
水中での溶接は、直流溶接機を使用し、防水被覆した溶接棒を使用します。
陸上の溶接とは異なり、水温、水圧、浮力などが溶接の仕上がりや強度に大きく影響してきます。
陸上での溶接と比較すると、水中溶接では瞬間的に冷却して行うため、強度は約20%、延性は約40%ほど低下するとされています。
そのため、水中溶接を行う際には、ビートを細かく一定にするなど、強度を考慮した上での作業が必要となってきます。
防食には塗料やパテなどを塗布するライニング工法、エポキシ樹脂塗料などを塗布する塗装工法、
また、水中の鋼構造物にアルミ陽極を取り付ける電気防食工法に大別されます。
◆防食工事施工例
鋼管や鋼矢板等の腐食を防ぐもので、アルミ陽極を水中溶接で取り付ける電気防食、エポキシ樹脂等を用いて母材に膜を覆う被覆防食が主に行われています。
水中にある鋼矢板や鋼管などを全体的に防食する場合は電気防蝕を、潮の干満で空気中にも出たり水に浸かったりする部分には被覆防蝕を行うことが多いようです。
◆対応範囲
作業可能範囲:鋼矢板護岸、鋼管矢板護岸、桟橋下部鋼管、橋脚、鋼製スクリーン、ゲートなど。
◆陸上との違い
水中では主に電気防食かライニングが行われていますが、港湾構造物に施工される電気防食は海水中において防食効果が高く、経済的だといわれています。
水中でのライニングは防食の敵ともいえる海水をいかに排除しながら施工するか、というところがポイントで、パテ状の塗料の撫で付けやテープ巻きの過程に
於いて防食材料と母材との間に海水が残らないような施工が要求されます。
主に鋼構造物の設置及びコンクリート構造物の撤去等で施工しています。
◆水中アンカー打設・水中コアボーリング工事施工例
主に以下のような場合があります。
・閉塞鉄板の固定・防舷材の設置
・ブラケット取付・ブロック引揚げ
・コンクリート構造物の撤去工事・岸壁補修工事
◆対応範囲
作業可能水域:海、河川、池、ダム、地下水、下水、プール、水槽など。
◆陸上との違い
水中では、鉄板等、固定する物を正確な位置に仮止めし、その穴に直接アンカーを打設する方法が多く行われています。
その際、構造物に配置されている既設の鉄筋を破損させないよう図面と照らし合わせたり、必要に応じて非破壊検査を行って鉄筋の位置を探ることもあります。
視界の悪い水中では、専用治具を製作し使用して削孔精度を確保します。
水中切断作業は、主に構造物や設備などの撤去時に行います。護岸の整備工事や岸壁の補修工事、推進の到達立坑での鏡切断など、
多岐に渡ってこの作業が行われています。
◆水中切断工事施工例
主に以下のような場合があります。
・低水護岸工事完成後の締め切り鋼矢板の水中切断
・立坑内に推進機が到達したときに行われる鏡切断
・土砂搬出桟橋等の解体時に行うブレスやH鋼杭の水中切断
・水中構造物の組み立ての際に空けるボルト穴の切断
・方塊や沈睡等の吊り環の切断
・本船のプロペラの切断など。
◆対応範囲
作業可能水域:海、河川、池、ダム、地下水、下水、プール、水槽、その他視界ゼロの環境でも様々な工夫を凝らし水中切断を行います。
◆陸上との違い
陸上での切断は主にガス切断を行いますが、水中では酸素アーク切断が主流です。酸素アーク切断とは、ミニランス棒を用い、切断棒の中の穴を
酸素が通り、切断棒が母材(切断する鋼材)に接触してアークが発生したときに溶けた母材を酸素で連続的に吹き飛ばす要領で切断作業を行います。
閉塞工事、止水工事は下水管の新設工事やポンプ場の改修工事などでも行われることがあります。
閉塞後止水して、その反対側で一般作業員の方が本体作業を行うので、水圧に応じた強度が求められます。
◆閉塞工事・止水工事施工例
主に以下のような場合があります。
・下水管渠のバイパス管築造に伴う管渠閉塞
・ポンプ室改修時の開口部閉塞
・ゲート補修工事における水路の閉塞
・工場の取水口閉塞など、壁面や床面、あるいは天井の開口部、また取水管の閉塞など。
◆対応範囲
作業可能水域:海、河川、池、ダム、地下水、下水、プール、水槽など。
◆陸上との違い
水中での閉塞工事は双方の水位が同じでないと作業が困難で、流れのある箇所等では予めバイパスを設けて流れを逃がす等の対策が必要です。
止水工事では漏水箇所にダイバー自身が吸い込まれないよう、十分な打合せと安全対策が欠かせません。
構造物の表面についているカキや貝、生物、サビなどを除去する作業です。目的によりケレンや清掃の使用工具や精度が違ってきます。
◆清掃工事・ケレン工事施工例
取水口の清掃、護岸の鋼管杭や鋼矢板のケレン、既設コンクリートの壁面下地処理、スクリーンのゴミ取りなどがあります。
◆対応範囲
作業可能水域:海、河川、池、ダム、地下水、下水、プール、水槽など。
◆陸上との違い
流れ等の外部からの影響が少ない場合は簡素化した足場で作業が可能です。
本体工事を始める前に、あらかじめ水中の状況を潜水調査し、その状態を把握して、施工方針や対処方法を検討していただくための作業です。
それだけに調査個所や目的、方法等、綿密な打合せが必要となります。
◆潜水調査工事事例
護岸の鋼矢板や鋼管の腐食状況、湖底の土砂堆積状況、コンクリート構造物の亀裂や破損状況などの調査があります。
例えば、ダム壁の亀裂・穴の確認調査を依頼された際に、水深35m地点に小さな漏水を発見しました。
水中において肉眼で発見するのが困難でしたが、独自で漏水発見器を作製することで漏水を発見することができました。
◆陸上との違い
水中の状況は出来る限り施主様にリアルタイムでご覧いただくため、水中ビデオを用いることがあります。
施主様のご要望にお応えしながら、必要に応じ、状況説明のナレーションも入れて、画像の編集をいたします。
鋼管や矢板の打設法線上の障害物の調査とその撤去、ライナープレートの組立時に障害になる裏込め材の削岩撤去などがあります。
水中なので視界が不良な場合が多いですが、小さな撤去物も逃さずに撤去することがポイントとなります。
◆事例1 ケーシングの撤去工事
「地中障害物に食い込んで分断した巨大ケーシングの撤去工事」という特殊な工事を行いました。(下の画像が、その巨大ケーシングです。)
水深20mでの困難な環境でしたが、安全に気を配りながら何度も潜水・溶接を繰り返し、撤去することに成功しました。
◆事例2 防波堤の撤去工事
防波堤の工事に伴い、海中の鋼管を切断し撤去するという工事でした。クレーンで鋼管を掴み、水中で切断した後引き揚げを行ったのですが、
その鋼管へのクレーン誘導もダイバーが行いました。
陸上でも水セメント比によってコンクリートの強度が左右されるように、水中でも打設方法を誤るとセメントと骨材とが分離してしまい硬化しなくなるため、
その取り扱いには慎重を要します。
◆コンクリート打設施工例
構造物の築造工事、護岸の補強工事、配管の保護コンクリート、各開口部の閉塞工事などで型枠を組み立て、既設構造物との密着をよくするためにジベル筋の
溶接や配筋の施工をした後、設計に合った配合のコンクリートを打設します。
◆対応範囲
■作業可能水域:極端な汚泥や不純物が混入していないところであれば打設は可能。
■水温:生コンが凍結するような温度でなければ打設は可能、しかしそのような環境下でも寒中コンクリートを用いれば可能です。ただし、この場合は施主様との
協議が必要となります。
◆陸上との違い
シューターやチョウチン等を使って水中に直接打設する方法は、水中でセメントと骨材とが分離することになり、良質のコンクリートは期待できません。
一般に水中コンクリートを打設する際は、トレミー管を用いて行い、トレミー管の先端が常にコンクリート中にあるようにしながら打設し、打設面と共に
トレミー管を引揚げながら水面まで打ち込む方法が用いられています。また、単位水量や単位セメント量の配合によって最適な水中コンクリートを作る
ことが出来ます。また、良質なAE減水剤や不分離性混和剤を用いて、より良質なコンクリートの打設が行われています。
◆はつり施工例
既設の隔壁の撤去、老朽化した護岸の取り壊し、仮設の止水壁の撤去
◆対応範囲
作業可能水域:海、河川、池、ダム、地下水、下水、プール、水槽など。
◆陸上との違い
水中でのはつり作業はブレーカーの振動が直接体に伝わり、肺や胸が強く圧迫される為、適度な休憩を取りながら行います。
また、視界がよくない場所ではノミ先の位置確認を指先で行うため、陸上で行うはつり作業よりは能率が悪くなります。
護岸の補強工事や管渠などの保護など、コンクリートを打設する必要がある際に行う工事で、測量、溶接、結束、アンカー打設、組立・・・
と多くの作業が複合的に行われます。
◆型枠工事施工例
護岸補強や、配管の保護、端部の止水など、コンクリート打設が必要な現場にその枠を設置する作業です。
◆対応範囲
作業可能水域:海、河川、池、ダム、地下水、下水、プール、水槽など。
◆陸上との違い
海や河川での型枠作業は、波などの外部からの影響を受ける場合が多く、製作途中の型枠が崩れるのを防ぐ為、補強をしっかりと行いながら施工します。
河川における既設鋼矢板護岸の腐食などの従来の残存型枠工事は河川を堰き止める等の陸上施工による工法が一般的ですが、弊社独自の工法(特許出願中)により、
水中より立ち上げ施工が可能です。
◆水中残存型枠工事施工例
河川における既設鋼矢板護岸や鋼管矢板護岸の腐食対策は、従来の残存型枠工事では河川を堰き止める等の陸上施工による工法が一般的でした。
しかし弊社の独自の取付フレーム(特許出願中)を用いた工法により水中で立ち上げ施工が可能です。
◆対応範囲
作業可能水域:主に河川
◆陸上との違い
陸上施工の場合は容易に通りや高さ管理が可能ですが、水中の場合では水質等の影響でそうはいきません。弊社独自の取付フレーム(特許出願中)を使用した
施工では、それらを比較的容易に行うことが出来ます。そのため水中施工でも作業効率や精度も増すので、施工後の品質にはご満足いただけます。
水中で行う掘削・浚渫工事とはウォータージェットやジェットリフト、エアーリフト・サンドポンプなどを使用して、余分な土砂を取り除いたり、
移動したりする作業です。
◆掘削・浚渫工事施工例
主に以下のような場合があります。
・橋脚の基礎工事の際に、グラブバケツでは掘削できない箇所をウォータージェットやエアーピック等で行う掘削
・潜水探査で海底の地中に磁気物を感知した場合に行う掘削
・護岸工事で堆積したヘドロや土砂をエアーリフトやジェットリフトで行う浚渫
・製鉄工場などのスラッジ槽や沈砂池などをサンドポンプで清掃する浚渫など。
◆対応範囲
作業可能水域:海、河川、池、ダム、地下水、下水、プール、水槽。その他視界ゼロの環境でも行いますが、ダイオキシンなど有害物質が含まれる土質については
事前にサンプリング試験や調査を行います。
◆陸上との違い
陸上では、主にグラブバケツなどの機械による掘削が行われていますが、水中での掘削や浚渫は水の勢いを利用したウォータージェット、ジェットリフトや、
空気の比重を利用したエアーリフトやエアーピックなどが用いられます。ジェットリフトやサンドポンプは、水中にある土砂等を真横の水中に移動できるため、
水面に濁りが出にくいため、環境への影響が比較的少なくなります。
視界の悪い水中で、いかに正確に据付工事を行い、設置出来るかが大きなポイントです。
◆据付工事施工例
ブロックの据付け、ケーソンの据付け、流量計の設置、ゲートの設置などコンクリート構造物から計器類まで、幅広くニーズにお応えしています。
◆対応範囲
作業可能水域:海、河川、池、ダム、地下水、下水、プール、水槽など。
◆陸上との違い
水中ではレベルやトランシットを使用できないため、陸上で製作した治具を使用して、設置位置等を正確にマーキングし、据付け等を行います。
◆推進工事施工例
既設の管渠に点検坑を設けるため、発進立坑から管渠に向けて水中で掘り進んでいきます。また到達立坑では鏡切断した後、シールドマシンを迎え入れ、
その周りを止水して揚水し、発注者様に明け渡します。
◆対応範囲
立坑内、下水管渠等推進工事が必要な箇所。
◆陸上との違い
薬液注入によって固められた壁を、人力ではつりながら少しずつ目的地まで進んでいく作業で、視界ゼロの環境で推進方向の測量や水準の確保など、
熟練を要する作業になります。土砂の崩壊や湧水等が無いように、施工方法の検討と事前の綿密な打合せが重要です。
◆立坑底版均し施工例
橋脚の基礎工事、シールドの立坑、オープンケーソンなどの底版に置換砕石などを投入し、その表面を所定の高さに均します。
◆対応範囲
鋼矢板立坑、鋼管矢板立坑、ケコム内、ケーソン内など。
◆陸上との違い
立坑内では視界が全く無い場合がほとんどで、底版均しの高さ管理が問題になりますが、陸上から測量治具を使用して水中での管理を行います。